PlanT lab. Vol.1 「都市と地方を行き来する」レポート

産業の種を見つけ、育てていくことを目指すこの地域連携型インキュベーション施設に、様々な分野で活躍する方々をお招きして、トークセッションやワークショップ、海外のプラットフォームイベントを実施しそこからの体験を通してそれぞれのアイディアを形にしていくソーシャル実験プログラム【PlanT lab(プラント・ラボ)】を開催しました。

今回は最初のトークセッションのレポートです。

記念すべき第1回は、gift_labの後藤さんと池田さんをお招きして、都市と地方の行き来によるダブルローカルの文脈でお話をいただきました。

会場には地元の方々をはじめ、日野市周辺地域や都心からも多くの方にご参加いただきました。

まずはお二人のこれまでの活動を紹介していただきます。
アート・クリエイティブ界わいのイベント企画や様々な空間プロデュースやデザインを手がけているお二人。
そういった本業の傍ら、Design TideやTokyo Design Weekなど90年代から2000年代のクリエイティブ界隈の立ち上げにも関わっておられました。
そして外神田~馬喰町エリアのプロジェクト「Central East Tokyo」にも関わっており、まちとの関わりはここから始まったそうです。

そして2012年に新潟県の十日町市の空き家に出会いカフェ&ドミトリー「山ノ家」をオープンすることになります。
オープンするまでのプロセスも非常に面白いです。十日町市は春から秋にかけて週末に都心から無料バスを走らせており、それを利用して東京の学生や社会人と一緒にお店の内装作業を行ったそうです。夏休みはまた別の古民家を借りて、学生達が1~2週間滞在してお金に換えられない経験ができる機会にもなりました。とても羨ましいですね。
そして作業をしているうちに地元の方々も気になり始め、最初は遠目で見ていた方達も「ここは何ができるんだ?」みたいに声をかけてくださり、そこからお家に夕飯に呼ばれて親睦が深まるなど、様々なストーリーが生れたそうです。

そうしてオープンした山ノ家。
後藤さんと池田さんは、東京の今までの仕事をしながら月の半分を十日町で過ごすというサイクルが始まりました。お店も毎日オープンするのではなく、無理のない日数で営業をしているそうです。
東京と十日町を行ったり来たりするなかで、十日町のお店も地元の方々との関わり合いも徐々になじんでいき、今お二人のなかでは「どちらも地元」という意識が芽生えているそうです。まさに「ダブルローカル」を実践しているということですね。

そして東京での暮らし方にも変化が生れました。恵比寿にオフィスを置いていたお二人は、現在は清澄白河へ移転し、オフィス兼カフェ&ギャラリーの「gift_lab GARAGE LOUNGE&EXHIBIT」をオープン。いよいよ二つの拠点それぞれに人が集う場所を作ったのです。

「その二つの拠点をしなやかに行き来し、仕事と地元の取り組みをしていくことによって、どちらも『地元』になっている」

仕事でもなく社会貢献活動でもない「営み」。

このスタイルがお二人の生き様であり、今のダブルローカルを体現されているんだろうなと感じました。

トーク後は参加者の中でグループになりディスカッションを行いました。移住や地方に興味がある人が多く、とても活気のあって終わるのが惜しいくらいの雰囲気でした。

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PlanT lab. Vol.1 「都市と地方を行き来する」
2016年2月7日実施