今年度はPlanT事業として、一歩踏み出した起業家向けに、ビジネスモデルをブラシュアップするセミナーが開催されます。
講師は、日野市創業スクールの二枚看、板浅川絢子先生(奇数月の昼開催)と山下まんぼぅ先生(偶数月の夜開催)がそれぞれ隔月で担当されます。
一年間を通じて経営の基礎について体系的に知識を習得し、実践を通して成果を上げることを目的としています。
5月は、浅川先生の第1回目「自分の棚卸し」をテーマに、講演とワークショップでした。今回は山下まんぼぅ先生が、「経営理念」をテーマに講演・ワーク・ライブコンサルと、盛りだくさんの内容でした。
参加者は、4つのグループに分かれ、グループワークを中心にセミナーが進んでいきました。
開催にあたり、PlanTコーディネーターの中西章生よりご挨拶をさせていただき、続いて一般社団法人Herstory代表理事の山下まんぼぅ氏のセミナーが始まりました。
まずは山下先生の自己紹介からスタートです。
山下先生は、大学卒業後企業に就職したものの、1年で退職し、ホームページ制作会社(本人曰くホームページ屋)をパソコンの電源の入れ方もわからない状態で創業。ホームページを使ってどう商品やサービスを売っていくか等、販売戦略の提案に力を入れて、現在に至ります。、そして、5年前から創業スクールの講師を担当され、昨年からはPlanTの運営にも携わっています。
山下先生に続き、参加者皆様の自己紹介。
グループ毎に1分間で名前、職業、何のために今の仕事をしているのか等をグループメンバーに紹介していただきました。
続いて、各人の自己紹介に対して質疑応答です。質疑応答が終わると、突然山下先生より参加者への質問が!!
最初に自己紹介した時間と、グループの皆さんからの質疑応答した時間、どちらが長く感じましたか~との質問です。
参加者皆さんに挙手をして回答いただいた結果、自己紹介の時の方が長く感じた方7名、質問の時の方が長く感じた方4名、同じ時間と感じた方3名でした。
ここで山下先生より、実は質疑応答は1分といいながら1分半の時間をとっていたことを知らされます。
一方的に話すより、相手の反応を見ながら話す方が話しやすい。質問をされて、相手の興味があることを話す方が話しやすい、ということを実感していただいたようです。
ウォーミングアップはこれで終了。ここから本題に入ります。
まずは、自分(自分の事業)が今どのステージにあるのかを確認します。
ビジネスのステージには
- 商品が決まっていない段階
- 顧客が集まらない段階
- 薄利多売で儲からない段階
- 利益が出るようになる段階
- 人材育成に取り組む段階
- 家業から起業へシフトする段階
という、6つのステージがあるそうです。
そして、今、日本においてデフレといわれている経済状況で、多くの企業が、ステージ③の段階であえいでいるとのことです。
利益の面で言うと、ステージ①と②がマイナス、ステージ③がプラスマイナスゼロ、ステージ④からプラスとなっているとのことです。
そしてステージ②と③の間には「ビジネスを継続できるか」という壁があり、③と④には「ビジネスを発展させていけるか?」という壁がある。
そして、④で利益が出始めたら、どの企業もみんな⑤のステージに行くかと言うと、そうではないとのこと。
つまり、④に留まるか、⑤に進むかの問題は「経営者がビジネスで何を実現したいか?」という価値観に関わってくる。
また、人材育成についても、自分の会社に入れてかばん持ちから始めさせて事業のノウハウを叩きこむ方法もあれば、このようにしてセミナー等を通じて教え込む方法もあり、どちらがいいか悪いかという問題ではなく、どの方法をとるかも人によるのだそう。
ところで、今年度の一連のセミナーは、参加者の皆様がステージ④にたどり着いていただくことを目標に全5回の講座を用意しています。そして、今回のセミナーのテーマ「経営理念」というのは、基本の基です。
続きまして、ステージ①の「商品が決まらない」という段階から、参加者の皆様に自己分析をするワークとなりました。
参加者の皆様には、「私のサービス(商品)は○○〇〇です。」というレジュメのテーマに従い、この〇〇〇〇を3分で埋め、一人1分を使いグループ内で共有しました。
ステージ①で商品が決まれば、次はステージ②です。
お客が誰なのかを明確にしていきます。
飲食店などでは、誰でもがお客さんだという人もいますが、乳呑み児はお客さんにはならないという例や、(最近はそうでもない人もいますが)基本的に居酒屋は子供が来るところではないというという例を挙げ、参加者の皆さんに顧客が誰なのか3分で明確化・具体化しました。
そして、ステージ①のワークと同じく、一人1分を使いグループ内で共有。
なお、商品が決まっていないという方については、こんな方とおつきあいしたいということで考えました。
そしてステージ③のワークです。
ステージ3は、仕事はぼちぼち忙しくなったけど、儲からなくてしんどい人達の層です。
「うちなんて儲からない業種だから」という人もいるそうですが、そういう人はもう思考停止に陥っているので成長が無い。本当に業種自体が儲からないのであれば、業種転換をした方が良いとのこと。
同じ業種の中でも儲かっているところもあれば、売り上げが大きくても儲かっていないところもあり、また売り上げは大きくはなくても利益の出ているとこともあります。同じ業種でも様々とのことです。
そこで、参加者ご自身の会社(事業)の販売価格、仕入れコスト、配送コスト、顧客が地元か全国か、集客コスト、リピーター顧客の有無等について、同業者の方と比べてどうかをご自身で検討していただき、また、なぜお客様があなたから商品を購入されるのか、またはあなたにサービスを依頼すると思うのかを書き出しました。
そして一人30秒ずつでグループ内で共有しました。
ワーク終了後、TOYOTA、ソニー、Softbank等の日本を代表する企業の企業理念、Amazon、Microsoft、Google、Facebookなどワールドワイドで活躍している世界企業の企業理念、そして、山下先生の会社のお客様の企業理念について見ていきました。
ちなみに山下先生の会社の経営理念は「夢と希望、そして感動を分かち合う」とのことです。
山下先生の創業当時、中小企業においては、ホームページというのはなくてもやっていけるけど、今のままでは先細るからこれを使って新しい収益手段を開拓するためのツールだったそうです。
つまり、ホームページは、今の課題を解決する手段ではなく、お客様の未来の夢と希望を実現する手段だったそうです。
そこで経営理念も「お客様の夢と希望を実現する」としていたそうです。
しかし、その理念にそって事業をしていると、山下先生の会社の従業員が次々疲弊していったとのこと。つまり、お客様の夢と希望を実現するために、山下先生の会社の社員さんがボロ雑巾のように疲弊していったのです。
そこで経営理念に「わかちあう」という言葉を追加したとのことです。
分かち合うとすることで、お客様にもそれ相応の覚悟を持ってご依頼いただき「うち(山下先生の会社)が全部やります」ではなく、一緒にパートナーシップを組むというお願いをし、そして頭にあった「お客様の」という言葉を抜いたそうです。そうして従業員の方とも夢と希望を分かち合うことにしたとのことです。
すると、それをきっかけに山下先生の会社から独立する従業員の方が増えていったということです。「社長の創業相談を見ていると自分も起業したくなってきた」といって独立していったそうです。山下先生からしますとコストを掛けて育て、せっかく戦力になってきた従業員が、そうやって独立していくのはホントに困ったそうですが、夢と希望を分かち合う以上それはしょうがないと割り切ってこれまでやって来たそうです。
経営理念というのは、そういう意味があるのですね。
起業したてで経営理念が必要かというと、自分のビジネスに型がついてないからだそう。
自分でビジネスをやるうえで型ができていないというのは、ある意味無防備な状態との事。起業してすぐの商品が固まっていない、顧客がいない、儲けが出ないという時期、一見美味しそうな話が転がってくることがあります。でも、実際、それに飛びついてしまうと後悔してしまうというのがお決まりパターン。
そういうことに巻き込まれないためにも、経営理念として自分の働く目的、なぜ起業したのかということを明確にし、自分の中に判断基準を打ち立てておけば、そういう話にうっかり飛びつくことを抑制できるということです。
そして最後は、皆さんに今日のワークをもとに経営理念を作っていただき、グループ内で紹介し合ってセミナーは早めに終了したかに見えましたが…。
交流会までの残り30分は、希望者に対して山下先生の公開コンサルが行われました。公開コンサルでは、2名の方が手を挙げられ、相談者の方のビジネスモデルに山下先生が遠慮なくグサグサとアドバイス。
グサッと言われて喜ぶのですから、起業家はメンタルがタフな方が多い!!
参加された皆さんには、新しい出会い、新しい気づきがあったのではないかと思います。今回のセミナーと交流会が参加された皆様に良い形で貢献できればと願っています。
PlanTでは、これからも皆様のビジネスを応援してまいります。
スタッフ一同、皆様のご活躍をサポートいたしますので、今後もお気軽にご相談ください。